2019年11月19日
珍しい宝石
よくある宝石じゃつまらない。自分好みの珍しい宝石を見つけよう!
◆アイオライト(iolite、菫青色)
色は名のとおり、静かな青みを帯びた菫色で、サファイアに似ていることからウォーターサファイア(water sapphire)ともよばれます。
光の当たる角度によって色が3色に変わる特性を持ち、かつて船乗りたちが航海の際にアイオライトを太陽にかざし、最も青色が鮮明に見える方向に船を進めたと言い伝えられています。
主にスリランカ、ミャンマー、インド、マダガスカルなどで採掘されます。
産出量が多いインドのものが比較的一番サイズが大きく、価格も安いと言われます。
スリランカのものは薄い青色や無色が多く、アイオライトの中では希少石の扱いを受けます。
ただし価格は大して高くはありません。特殊効果としてはキャッツアイ(シャトヤンシー、猫目効果)と、スター効果(アルテリズム効果、星彩効果)があります。前者はスリランカとインド、後者はインドが有名です。
◆アウィナイト
アウイン(アウィナイト)は、鮮やかな青色がとても綺麗な、ラピスラズリの 構成鉱物の一つです。
単体の鉱物としては産出が非常に少なく、かなりの稀少性で、同じ重量のダイヤモンドよりも高いこともしばしばあります。
通常販売される大きさとしては2ct以下のものしかなく、大きくても0.5ctクラスのものしかありません。
硬度が低く、非常にもろい石でもあるので取り扱いが非常に難しく、加工の際に割れることもよくあります。
加工業者によっては、アウイン(アウィナイト)の石留を行っていないところもある程です。
宝石としての使用に耐えうる品質のものは、ドイツでしか産出せず、とくにドイツのアイフェル地方は有数の産地で、「アイフェルのサファイア」と称されています。しかしながら、同じサイズのサファイアを遥かに凌ぐ価格で販売されています。
◆アレキサンドライト(alexandrite)
最大の特徴は鮮やかな色変わりです。
太陽や蛍光灯の下ではエメラルドやサファイアのごとく「緑」や「青緑」色に輝き、白熱電球の下ではルビーやアメジストのごとく「赤」や「赤紫」色に輝きます。
このカラーチェンジの秘密は、アレキサンドライトが含有する酸化クロムの影響にあります。
酸化クロムはエメラルドを緑に、ルビーを赤くする役目を持つ発色成分で、これを等分に保持しているため光を吸収した際、その光の性質によって輝く色が変化するのです。
アレキサンドライトという名前の由来は、この石が発見されたロシアでその日がアレクサンドル皇太子(後の皇帝アレクサンドル二世)の誕生日だったことから名付けられたそうです。
そして、アレキサンドライトの中で更に稀少なのが「アレキサンドライトキャッツアイ」です。
酸化クロムの変色効果を持ち、猫目効果が現れる宝石です。
しかしキャッツアイの効果がある分、変色効果は多少落ちるようです。
通常、宝石はカラット(石の重さ)・インクルージョン(内包物)の有無・透明度・キズ等で評価されますが、アレキサンドライトの場合は特色効果の明瞭具合で価値が違ってきます。
ご購入の際はペンライト等を当てて特色効果の具合を一度確かめてみる良いでしょう。
◆アンモライト(ammolite、菊石)
化石で有名なアンモナイトの表面にアラゴナイトが付着しオパール化したもので、光に当たると赤、黄、青、緑と、鮮やかな虹色に光ります。
グリーンやオレンジ、レッドの彩りを放つアンモライトは比較的によくみられますが、ブルーの彩りを持つものは数が少ないと言われます。
生き物が化石となって宝石質のものになることは珍しく、大変高価で希少なため、あまり市場には出回っていません。
◆アンデシン(andesine、中性長石)
「オリゴクレース」と「ラブラドライト」の中間に位置し、両方の成分を半分ずつ持っていて、2002年に発見された新種の宝石です。
モンゴル・チベット・オーストラリア・中国と生産地は多いものの宝石として研磨できる原石が得られにくい為、流通量は大変少ないです。
赤褐色・緑・オレンジ・白・灰色と種類があり、赤褐色でアベチュリン効果(結晶の中の鉱物が光を反射して輝いて見える現象)が主流で、稀に見る綺麗な赤は銅によるものです。
インクルージョンが少なく透明感に優れたものほど希少価値が高くなります。
白熱灯下で緑色からほんのりと赤色へ変わる「カラーチェンジアンデシン」は特に希少です。
◆コンクパール(conch pearl、コンク真珠)
天然の「コンク真珠」で判然としたピンク色をしています。
真珠の表面に「フレーム(flame/炎)」という火焔模様があり、宝石としての価値が高くなりますが、顕微鏡でないと見えにくいものが多く肉眼で明瞭に美しく見えるものは少ないです。
巻貝の一種に育まれて出来るコンクパールにはピンク・赤・オレンジ・黄色・白・灰色がかった色・紫がかった色と、各色バリエーション豊かで強い色ムラがあるのが特徴です。
コンクパールは養殖が出来ない上、出現率が1000分の1あるいは10000分の1とも言われています。
その中でもムラなく深みのあるピンクで宝石に使える丸い形状をもち、尚且つ真珠の表面にフレーム模様があるものは大変希少で価値が高いです。
また、母貝であるコンクシェルも、ピンクとクリーム色のマーブル模様が非常に美しく、ジュエリーのパーツやカメオとして加工されます。
◆デマントイドガーネット(demantoid garnet、翠柘榴石)
ドイツ語で「ダイヤモンドのように」の意味である「デマントイド」の名を持つ、緑色に輝くガーネットです。
ダイヤモンドのようにと名付けられているが、実際はダイヤモンドよりも分散率は遥かに高い輝きがあり、ガーネットの中で最も希少価値が高いものです。
ビソライトの細い結晶による「ホーステイル・インクルージョン(馬の尻尾のような繊維状内包物)」が特徴で、幸福をつかむとも言われています。
デマントイドガーネットはロシアとその他イタリア・南西アフリカで採掘され、ロシア産はエメラルドグリーンのような濃い緑色をしており、その他はロシアより少し淡い緑色をしています。
1カラット以下のものが多くそれ以上となると希少で、特に2カラットを超えるものは滅多に目にする機会もない大変希少で貴重な宝石となります。
◆パライバトルマリン(paraiba tourmaline、電気石)
珊瑚礁の海のような、照りのあるネオンブルーが特徴です。
鉱物学的には各種の色彩を放つトルマリンの一種でしかありませんが、透明度や色味の個性があまりにも強烈だったため、宝石の世界では独立した名称をつけられました。
含有している酸化クロムと銅によって、この幻想的な発色が生まれます。
銅が強い場合には緑系に、酸化クロムが優勢な場合には青系の色味になります。
通常ですと、このような色や輝きを持つ宝石にはクロムとバナジウムが含まれていますが、この宝石にはクロムは全く含まれておらず、バナジウムもほとんど含まれていません。
パライバトルマリンは、普通であれば反発し合う酸化クロムと銅が見事な色を作り上げる、稀な存在なのです。
産出状況はあまり良くはなく、世界的な人気に産出量が追いつかない状況です。
◆パパラチアサファイア(padparadscha sapphire)
キング・オブ・サファイアともいわれるサファイアの一種。(パパラッチャ、パパラチャともいう)
サファイアの中で唯一独立した名前を持っています。
シンハラ語で「蓮の花」「蓮の花の蕾」という意味を持つパパラチアの名の通り、桃色と橙色の中間色のものがそう呼ばれます。
産出量が少なく、幻の宝石と言われています。
特に日本では、希少性があることと、色が日本人好みであったため需要が高く、それ故に、オレンジサファイアやピンクサファイアにベリリウムによる処理を行い、「パパラチア」として販売する詐欺まがいの方法が行われることも、以前は少なくありませんでした。
現在、パパラチアサファイアの鑑別は非常に厳しくなっておりますが、鑑別書が少し古めのものになると、ベリリウム処理についての記載がされていなかったり、判断基準が曖昧であった可能性も拭いきれない為、注意が必要とされています。